代理店というのは、発注が当の企業ではなく、商社や建設会社などの代理店を通じてくるもので、発注元のわからない分を分類したもの。
この中で、景気動向と最も密接なつながりがあるのは民需である。 官公需は毎年の予算に従って執行されるため、受注の波があまりなく、外需は国内景気にそれほど関係がないからだ。
しかし、民需にしても船舶・電力といった産業を除いて見る必要がある。 船舶や電力は発注規模が大きい反面、景気動向と直接結びつく性格が薄いため、これらを含めた数字を見ると、景気判断を誤るおそれがあるからだ。

このため、公表数字で注目されるのは、船舶・電力を除いた民需が中心となっている。 さらに民需は製造業、非製造業別に分かれ、それぞれの推移もわかるデータとなっている。
民需をさらに細かく、受注先を業種別に分けると、製造業は一七、非製造業は二に分かれている。 金額が大きいのは、製造業では一般機械、電気機械、自動車、鉄鋼、化学など。
非製造業では電力、運輸、通信、建設、金融・保険など。 製造業では高度成長期を支えた素材型産業の受注が減り、自動車などの加工組立型産業の受注が増えている。
重厚長大から軽薄短小へという産業構造の変化が、機械受注の面にも表れている。 非製造業では金融・保険といった業種の比重が高まっている。
これらの業種がなぜ機械を発注するかといえば、オンライン化によるコンピュタ化のため。 現代の銀行、保険、証券といった業種は「巨大な装置産業」という形容がピッタリ当てはまるほどの産業であり、金融ピッグバンでさらに加速している。
カード一枚で預金の出し入れができたり、全国の証券会社の店頭で、一瞬のうちに株式や債券の売買ができるのもコンピューター投資のためなのだ。 ちなみに、全体の受注規模はどの程度かというと、一九七五年度当時の受注総額は八兆六〇〇〇億円(一七八社ベース)だったが、八五年度には一六兆円と二倍になった。
これが「バブル景気」の末期にあたる九一年度は二八兆円(二八〇社ベース)のピクを記録。 このうち、船舶・電力を除く民需は約一四兆円で、全体の約半分を占めている。
バブル崩壊で受注額は一時落ち込んだが、九六年度には二八兆七一三〇億円となり、過去最高を更新している。 機械受注のこれまでの問題点は、Dと同様、製造業の設備投資に重点が置かれ、非製造業はあまり重視されなかったこと。

しかし、経済のソフト化、サービス化によって、非製造業の投資シェアは年々増える一方となり、もっと細かいデータを作らないと、指標の価値は下がる一方になった。 そこで経企庁も八七年の改定では、対象企業数を約一〇〇社増やして二八〇社にし、受注した機械の分類も細かくした。
たとえばハイテク関係は「電子機械」と「通信機」の二つだけだったが、これらに「電子応用装置」「電気計測器」「半導体製造装置」の三つを加えた。 また、発注元の分類も、非製造業は運輸など六つに分けていたが、その中の「その他非製造業」を細分化し、「通信」「卸・小売」「金融・保険」「不動産」「情報サービス・調査・広告」「その他」の六つに分けた。
機械受注は精密な統計データとして、常に整備改変をくり返しているが、実際にどの程度マクロ景気との関連性があるかというと、Dの山や谷のほぼ四半期(約半年)ほど先行しているといわれる。 すなわち、機械受注が下降線をたどりはじめて半年たつと、景気は後退期に入り、逆に機械受注が上昇線をたどりはじめて半年たつと、景気は拡大期に入る、というわけだ。
ただ、経済構造の変化などによって、D自体の山、谷が以前ほどはっきりしない時代になっており、景気に対する機械受注の〃先行度″がどの程度なのか、判断に迷う場面も多くなっている。 また、半導体やパソコン通信に象徴される″ハイテク革命″は、機械設備そのものにかかる経費は少ないわりに、産業構造を変えるほどの技術革新をもたらした。
現代の機械受注の注目点は、こうしたハイテク関連の投資がどう動くか、という所にあるようだ。 鉱工業生産指数、モノの生産活動で読む経済動向モノの生産活動が活発であるかどうか、は景気を見るうえで重要なポイントであることはいうまでもない。
しかし、たとえば鉄は景気が良くても、エレクトロニクス部門は景気が悪いことがある。 関東は良いが、関西はそれほどでもないということもある。
日本経済全体としてはどうなのか〜ということになると、一つの産業、一つの商品だけでなく、数多くの品目について、日本全体の体系的な統計によって調べる必要がある。 これが「鉱工業生産指数」で、経済動向を見る主要な指標になっている。
「鉱工業生産指数」は、通産省が毎月、主要な品目について全国的に生産量を調査し、基準年(現在は一九九五年)を一〇〇として指数化した後、R方式で加重平均して作っている。 R方式というのは、ドイツの統計学者Rが一八六四年に発表した方式で、商品別指数を算定する時、基準年の価格をもとにウエート付けをしてまとめられる。

調査結果は、翌月の下旬に速報が、翌々月隔の中旬には確報が公表されている。 鉱工業生産は社会的な習慣、天候など、一年を周期として季節的に変動することが多いので、季節調整をして対前年同月比(年間の場合は対前年比)で見る。
採用品目は九五年基準で五三〇品目。 品目を固定しておくと、品目間に相対的価格の変動が起こった場合や、非採用品目が大きなウエートを占めるようになると生産動向を正しく反映しなくなるので、五年ごとに基準改定を行い、採用品目の見直しやウエートの改定を行っている。
この指標の最大の特徴は、実質GDPの動きとほぼ同じような動きをしている点である。 つまり、景気の動向に敏感に反応するといえる。
過去の景気の動きと対比してみると、景気の山、谷とほぼ一致している。 設備投資がきわめて活発な岩戸景気の最中であった六〇年度、鉱工業生産指数の対前年度伸び率は二三・〇%。
日本列島改造ブームに沸いた七三年度は同一二・四%、バブルがふくらんだピクの八八年度には八・九%であった。 一方、石油ショック後の七四年度はマイナス九・七%、七五年度はマイナス四・四%、円高不況の八六年度はマイナス〇・二%といった具合。
バブル崩壊後のデフレで九一年度から三年間はマイナスが続き、九四年度以降は一〜三%台の低水準で推移している。 一方、GDPの動きと比べると、おおむね景気の上昇局面では鉱工業生産の上昇率がGDPの上昇率を上回っており、下降局面では下回る傾向があるとされている。
鉱工業生産は在庫の影響が大きく、景気が上昇する場合は先行きの需要増を見込んで在庫が積み増しされるために、最終需要よりも生産が大きくなる。 これに対して下降する場合は、過剰な在庫を抱え込んだ結果として最終需要よりも生産が小さく出ることになる。
このほか、速報性の高い指標であることも特徴の一つ。 また、この指数は総合指数だけでなく、業種別の詳しい内容が公表されていることも貴重だ。
この内訳を調べてみると、どの業種が伸びていて、どの業種が低下しているかがはっきりわかる。 消費財が増加していると、いわゆる消費景気であることがわかるし、生産財の場合はどうかなど、景気の性格、特徴が分析できる。

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